くり上がりのたし算の教え方|「10のまとまり」でつまずかない

2026-09-27・5分・1年 / 計算 / たし算・文:山野 健太

くり上がりのたし算は「10のまとまり」を作る考え方です。指で数える方法との違い、さくらんぼ計算のやり方、よくある間違いと家庭での声かけをまとめました。

くり上がりのあるたし算は、小学1年生の秋ごろに習います。8+5のように、答えが10をこえる計算です。1つ前に習う「いくつと いくつ(10を つくる)」の単元がしっかり身についているかどうかで、ここでのつまずき方が大きく変わります。

この記事では、くり上がりのたし算がどこでつまずきやすいかを具体的に見たあと、「10のまとまり」で考える方法を例題とともに整理します。家庭で教えるときの声かけの例もあわせて紹介します。

どこでつまずくか

いちばん多いのは、指やおはじきを1つずつ数えて答えを出す子です。8+5なら、8のあとに1、2、3、4、5と指を折って数えます。数が大きくなると指が足りなくなったり、途中で数え間違えたりして、答えがずれやすくなります。

もう1つ多いのが、くり上がった10を忘れて、1の位の数だけを答えにしてしまう間違いです。8+5を計算していく途中で10のまとまりができたのに、それを数えに入れず「3」とだけ答えてしまうような形です。

数え足しでも、数が小さいうちは正しい答えにたどり着けます。そのため、この段階でつまずきに気づかず、数字が大きくなる2年生のくり上がりの筆算まで進んでから、急に計算が遅いことに気づく家庭も少なくありません。

こうしたつまずきの多くは、計算の手順そのものよりも、「10のまとまりを作る」という考え方がまだ身についていないことが原因です。数え足しに頼っている間は、数が大きくなるたびに同じ苦労が続きます。

10のまとまりで考える(さくらんぼ計算)

くり上がりのたし算は、どちらかの数を分けて、まず10を作ってから残りをたすと、指を使わずに解けます。学校では、この分け方を数の下に枝分かれさせて書くことから「さくらんぼ計算」と呼ぶことがあります。

8+5なら、まず8にいくつ足すと10になるかを考えます。8と2で10になるので、5を2と3に分けます。8+2=10、そこに残りの3をたして10+3=13です。

このときに使うのが、「いくつと いくつ」の単元で覚えた、あわせて10になる数の組です。8なら2、7なら3、6なら4というように、すぐに出てくるようにしておくと、くり上がりの計算がぐっと速くなります。

10のまとまりが特別なのは、1の位が10個集まると、位が1つ上がって「十の位が1」になるからです。この位のしくみは、2年生以降の筆算やもっと大きな数の計算まで、ずっと使い続ける考え方です。

おはじきや丸を使って、10個入る枠を用意して確かめるのもおすすめです。8個の枠に2個を足して10個にし、残った3個を数えると13になることが、目で見てわかります。

分ける相手は、大きいほうの数にそろえても、小さいほうの数にそろえても、どちらでもかまいません。慣れてきたら、分ける数が少なくてすむほう、つまり10に近い大きいほうの数をそろえるやり方を勧めると、計算が速くなります。

例題で確認

例題1、8+5です。8にあと2で10になるので、5を2と3に分けます。8+2=10、10+3=13で、答えは13です。

例題2、9+6です。9にあと1で10になるので、6を1と5に分けます。9+1=10、10+5=15で、答えは15です。

例題3、7+8です。7にあと3で10になるので、8を3と5に分けます。7+3=10、10+5=15で、答えは15です。大きいほうの数である8を10にしてから、残りの7を分けても、同じように解けます。

例題4、6+9です。9にあと1で10になるので、6を5と1に分けます。9+1=10、10+5=15で、答えは15です。たす順番を入れかえても答えは同じになることも、あわせて確かめておくと安心です。

答えが合っているか不安なときは、おはじきや丸を最初から並べて数え直すと確かめられます。慣れないうちは、答えが出たあとの確かめまでを1セットにしておくと安心です。

よくある間違いと直し方

よくあるのは、分ける数を間違えることです。9+6を計算するとき、「9はあと1で10」を確認せず、なんとなく6を2と4に分けてしまうような形です。9の指を1本ずつ折りながら「あと1で10」と声に出して確認する練習をすると、分け方を間違えにくくなります。

次に多いのは、くり上がった10を忘れてしまう間違いです。10のまとまりができたら、「10と3で13」のように、10という言葉を必ず声に出して言わせると、位を忘れにくくなります。

どちらの数を10にしても答えは同じですが、大きいほうの数を10にすると、分ける数が小さくなって数える工程が減ります。7+8なら、7ではなく8を10にするほうが、分ける数が2で済み、間違いにくくなります。

急いで解こうとして、分ける数を頭の中だけで処理しようとし、とちゅうで数を忘れてしまう子もいます。慣れるまでは、分けた数を式の下に小さく書かせて、目で見て確かめられるようにすると落ち着いて解けます。

どの間違いも、8+5のような数のままでうまくいかないときは、いったん5+5や8+2のような、あわせてちょうど10になる簡単な計算に戻ると効果的です。10を作る感覚そのものが弱っているサインなので、むずかしい数のまま繰り返すより、戻って土台を固めるほうが早く進みます。

家庭での声かけ

言葉の言いかえは、子どもが自分で気づくきっかけを作るためのものです。答えを教えるかわりに、次のような聞き方に変えてみてください。

「早く計算して」と言うより、「8はあと何で10になる?」と聞くほうが、考える手順に意識が向きます。

「違うよ」と言うより、「10と何になった?」と聞くほうが、どこで止まっているかが分かりやすくなります。

「もう1回」と言うより、「おはじきで確かめてみよう」と誘うほうが、間違いを自分で見つけやすくなります。

毎日5問ほど、10になる組み合わせを声に出して答える練習を続けると、くり上がりの計算がすらすらできるようになります。焦らず、10のまとまりを作る感覚を体で覚えることを優先しましょう。指を使わずに解けた日は、それだけでしっかりほめてあげてください。

マスマップの「たしざん(くり上がり)」の単元では、「まなぶ」で10のまとまりの作り方を図で確認してから、くり上がりのある計算を順番に練習できます。「いくつと いくつ」の単元であわせて10になる組み合わせを先に確認しておくと、よりスムーズに進められます。

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