2026-09-28・5分・1年 / 計算 / ひき算・文:山野 健太
くり下がりのひき算には「減加法」と「減減法」の2つのやり方があります。どこでつまずきやすいか、2つのやり方の違い、例題での検算、家庭での声かけをまとめました。
くり下がりのある引き算は、小学1年生で、くり上がりのあるたし算のすぐあとに習います。13−9のように、1の位だけでは引けず、10の位から借りてこないといけない計算です。前の単元の「いくつと いくつ(10を つくる)」と、くり上がりのたし算が身についているかどうかで、ここでのつまずき方が大きく変わります。
この記事では、くり下がりの引き算がどこでつまずきやすいかを具体的に見たあと、学校で習う2つのやり方「減加法(げんかほう)」と「減減法(げんげんほう)」を、同じ例題を使って比べながら整理します。家庭で教えるときの声かけの例もあわせて紹介します。
いちばん多いのは、13−9のように、1の位だけを見て「3から9は引けない」と手が止まってしまう子です。ここまでのひき算は1の位どうしで引ける数ばかりだったので、急に引けない場面が出てくると戸惑いやすくなります。
もう1つ多いのが、10の位から借りたことを忘れて、そのまま計算の途中の数だけを答えにしてしまう間違いです。13−9を計算する途中で10−9=1まで出したのに、残りの3を足し忘れて「1」とだけ答えてしまうような形です。
数が小さいうちは、指を使った数え引きでも答えにたどり着けてしまいます。そのためこの段階ではつまずきに気づきにくく、2年生のくり下がりの筆算まで進んでから、計算に時間がかかることに気づく場合もあります。
こうしたつまずきの多くは、計算の手順そのものよりも、「10のまとまりを借りて分ける」という考え方がまだ身についていないことが原因です。数え引きに頼っている間は、数が大きくなるたびに同じ苦労が続きます。
くり下がりの引き算には、大きく分けて2つのやり方があります。1つは、引かれる数を「10」と「ばら」に分けてから、10からまとめて引く「減加法」です。もう1つは、引く数のほうを分けて、2回に分けて引く「減減法」です。どちらも学校の教科書に出てくる、正式なやり方です。
減加法では、13−9を、まず13を10と3に分けて考えます。10−9=1、そこに残りの3を足して1+3=4です。「10のまとまりから引いて、残りを足す」という2つの手順で終わります。
減減法では、同じ13−9を、引く数の9のほうを分けて考えます。13の1の位は3なので、9を3と6に分けます。まず13から3を引いて13−3=10、次に10から残りの6を引いて10−6=4です。分け方は違いますが、答えはどちらも4になります。
どちらのやり方も、「10のまとまりをいったん作って、そこから計算する」という点は同じです。1年生の教科書では両方を習いますが、家庭で教えるときは、お子さんが得意なほうを中心にして、もう一方は「別の考え方もある」くらいに軽く触れる程度でかまいません。
例題1、13−9です。減加法なら、13を10と3に分け、10−9=1、1+3=4で、答えは4です。減減法なら、9を3と6に分け、13−3=10、10−6=4で、こちらも答えは4です。
例題2、14−6です。減加法で解くと、14を10と4に分け、10−6=4、4+4=8で、答えは8です。1の位の4がそのまま最後に足す数になります。
例題3、15−8です。減減法で解くと、8を5と3に分け、15−5=10、10−3=7で、答えは7です。8を、15の1の位である5に合わせて5と3に分けるのがポイントです。
答えが合っているか不安なときは、答えに引いた数を足し直して、元の数に戻るかを確かめる方法があります。例題3なら、7+8=15となり、元の15に戻るので正しいと確認できます。
例題4、16−7です。減加法なら、16を10と6に分け、10−7=3、3+6=9で、答えは9です。減減法なら、7を6と1に分け、16−6=10、10−1=9で、こちらも答えは9です。同じ問題を両方のやり方で解いてみると、答えが一致することが確かめられ、どちらの考え方もつながっていることが分かります。
減加法でよくあるのは、10からいくつ引いたかを計算したあと、残りを足すのを忘れてしまう間違いです。13−9で10−9=1まで出したら、「1と、残りの3で、あわせていくつ?」と、あわせる数まで声に出させると、足し忘れを防げます。
減減法でよくあるのは、引く数の分け方を間違えることです。13−9で、1の位の3に合わせずに、なんとなく9を4と5に分けてしまうような形です。「13の1の位は何?」と先に確認させてから分けさせると、間違いにくくなります。
どちらのやり方が合っているかは、数の組み合わせによっても変わります。13−9や14−8のように引く数が9や8と大きいときは、10からまとめて引く減加法のほうが手順が少なくすみます。12−3や11−2のように引く数が小さいときは、2回に分けて引く減減法のほうが、指で数える感覚に近く、間違いにくくなります。
急いで解こうとして、頭の中だけで分けようとし、途中の数を忘れてしまう子もいます。慣れるまでは、10になった数と残りの数を式の下に小さく書かせて、目で見て確かめられるようにすると落ち着いて解けます。
どちらのやり方でもうまくいかないときは、いったん10−1や10−5のような、10からそのまま引く簡単な計算に戻ると効果的です。10のまとまりを扱う感覚そのものが弱っているサインなので、むずかしい数のまま繰り返すより、戻って土台を固めるほうが早く進みます。
言葉の言いかえは、子どもが自分で気づくきっかけを作るためのものです。答えを教えるかわりに、次のような聞き方に変えてみてください。
「早く計算して」と言うより、「13は10といくつ?」と聞くほうが、分ける手順に意識が向きます。
「違うよ」と言うより、「10から引いた数と、残りの数を、あわせるといくつ?」と聞くほうが、どこで止まっているかが分かりやすくなります。
「もう1回」と言うより、「おはじきで確かめてみよう」と誘うほうが、間違いを自分で見つけやすくなります。
毎日数問ほど、10からいくつか引く練習や、10といくつで元の数になるかを声に出して答える練習を続けると、くり下がりの計算がすらすらできるようになります。焦らず、10のまとまりを借りて分ける感覚を体で覚えることを優先しましょう。
マスマップの「ひきざん(くり下がり)」の単元では、「まなぶ」で減加法と減減法の両方を図で確認してから、くり下がりのある計算を順番に練習できます。「いくつと いくつ(10を つくる)」の単元であわせて10になる組み合わせを先に確認しておくと、よりスムーズに進められます。