2026-09-26・5分・3年 / 計算 / わり算・文:山野 健太
わり算は「九九を逆に使う計算」です。分ける体験から始めて、あまり、文章題の切り上げ・切り捨てまで、家庭で教えるときの順番と声かけをまとめました。
わり算は小学3年生で習います。新しい計算に見えますが、中身は「九九を逆から使う」ことです。ここがつながると一気に楽になり、つながらないまま進むと、あまりのある問題や文章題でつまずきます。
この記事では、家庭で教えるときの順番を6つの段階に分けて紹介します。お子さんがどこで止まっているかを確かめながら読んでみてください。
いきなり式から入らず、おはじきやお菓子を実際に分けるところから始めます。「12こを3人で同じ数ずつ分けてみよう」と言って、1こずつ順番に配ってもらいます。
配り終わると、1人4こになります。この「同じ数ずつ」がわり算の大事な約束です。量がばらばらでは、わり算にはなりません。
ここで「12 ÷ 3 = 4」と書いて見せます。式は、いま手でやったことを短く書いたものだと伝えると、記号への抵抗が減ります。
毎回配っていては時間がかかるので、次は九九を使います。12 ÷ 3 なら「3の段で12になるのは何番目?」と考えます。3、6、9、12と唱えて、4番目なので答えは4です。
式で書くと「3 × □ = 12」の□を探すことになります。わり算の答えは、かけ算の□に入る数です。この見方ができると、どの問題にも同じ手順で向かえます。
ここで止まる子は、九九そのものがあいまいなことが多いです。わり算の練習を増やすより、先に九九を「7の段を下から言える」くらいまで戻したほうが早く進みます。
0や1が出てくるわり算も、ここで一緒に確かめておくと安心です。0 ÷ 3 は、0こを3人で分けるので1人0こで、答えは0です。5 ÷ 5 は1、5 ÷ 1 は5になります。「何もないものは、何人で分けても0」と場面で考えれば、丸暗記しなくても答えられます。
わり算の文章題には2つの型があります。1つは「12こを3人で分けると1人何こ?」で、1人分の大きさをたずねます。もう1つは「12こを3こずつ分けると何人に配れる?」で、いくつ分とれるかをたずねます。
どちらも式は 12 ÷ 3 = 4 で、答えも4です。ただ、答えの単位が「こ」と「人」で変わります。単位をつけて答える習慣があると、何を聞かれているかを取り違えにくくなります。
教科書ではこの2つを分けて習います。家庭では「この4は、4こ?それとも4人?」と聞くだけで十分です。
文章題を読むときは、「ずつ」という言葉に注目すると見分けやすくなります。「3こずつ」なら1人分が決まっていて何人分をたずねる問題、「3人で」なら人数が決まっていて1人分をたずねる問題です。
次は、ぴったり分けられない場合です。14こを3人で分けると、1人4こずつ配って2こ残ります。これを「14 ÷ 3 = 4 あまり 2」と書きます。
よくある間違いは「14 ÷ 3 = 3 あまり 5」のような答えです。あまりが5こあるなら、3人にもう1こずつ配れます。あまりはいつも、わる数より小さくなるというきまりを確認しましょう。
答えが合っているかは、かけ算で確かめられます。3 × 4 + 2 = 14 となれば正解です。この確かめ算を毎回やる子は、あまりの間違いが目に見えて減ります。
もう1つ例を見てみましょう。20 ÷ 6 なら、6の段で20をこえない一番大きい数を探します。6 × 3 = 18、6 × 4 = 24 なので、3までは配れます。20 − 18 = 2 で、答えは「3 あまり 2」です。
「こえない一番大きい数」を探すときは、1つ大きい段も試してみるのがコツです。6 × 4 = 24 が20をこえると分かれば、3で止めてよいと自分で判断できます。
あまりのある文章題では、答えをそのまま書くと間違いになることがあります。たとえば「23人が長いすに4人ずつすわります。長いすは何きゃく必要ですか」という問題です。
23 ÷ 4 = 5 あまり 3 です。5きゃくでは3人がすわれないので、答えは1つ増やして6きゃくになります。これを切り上げといいます。
反対に「30cmのリボンから7cmずつ切ると、何本とれますか」なら、30 ÷ 7 = 4 あまり 2 です。残りの2cmでは7cmのリボンは作れないので、答えは4本のままです。こちらは切り捨てです。
切り上げになる場面には「全員が乗るには」「全部入れるには」、切り捨てになる場面には「何本とれるか」「何こ作れるか」という言い回しがよく出ます。問題文のこうした言葉に線を引かせるのも効果があります。
どちらになるかは計算では決まらず、場面で決まります。「あまった3人はどうなる?」「残りの2cmで1本作れる?」と、あまりの正体を言葉で聞くのがいちばん効きます。
4年生では、84 ÷ 4 のような大きな数のわり算を筆算で解きます。むずかしく見えますが、84を80と4に分けると、80 ÷ 4 = 20、4 ÷ 4 = 1 で、合わせて21です。筆算は、この分け方を上の位から順番に書いていく方法です。
筆算の1回1回でやっていることは、3年生と同じ「九九で商を立てて、かけて、ひいて、あまりがわる数より小さいか確かめる」ことです。3年生のうちに、あまりのきまりと確かめ算を身につけておくと、4年生の筆算がぐっと楽になります。
わり算でつまずいたときは、「どうしてできないの」ではなく「何の段を使う?」「あまりは、わる数より小さい?」のように、手順を1つだけ聞く声かけが向いています。考える場所がはっきりするからです。
練習量は1日数問で十分です。1問ずつ確かめ算までやりきるほうが、たくさん解いて間違いを重ねるより身につきます。
急がせる言葉は逆効果になりやすいです。わり算は1問に考える手順がいくつもあるので、「はやく」と言われると、九九の確認や確かめ算を飛ばしてしまいます。正しく終わった1問をほめるほうが、結果として速くなります。
マスマップの「わり算(あまり)」の単元では、九九とのつながりを図で確認してから、あまりのある問題や切り上げ・切り捨ての文章題まで順番に練習できます。4年生で習う2けたでわる筆算も、ここでの考え方がそのまま土台になります。